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相続手続きの知恵とコツ
遺産相続手続きの相続モールです。
本日は、実際に相続モールへご相談にお越しいただいてお聞きした事例を要素だけにしぼってひとつご紹介したいと思います。
もくじ
要素は事実ですが事例はフィクションです。
それでは見ていきましょう。
一月前に叔父が無くなり相続が発生した。
叔父の配偶者はすでに死亡しており、子共もいません。
相続人は兄弟姉妹になると思うが、すでに亡くなっている者もいて、誰が相続人かいまいち分からない。
また叔父は会社を経営していたので借金もある。
相続財産は自社株・預金・借金かとおもいますがどのようにすればいいのでしょうか?
文字にするとこのような相続事例ですが、この120文字くらいの事例の中でもポイントや注意点がたくさんあります。
①相続人が誰か、兄弟姉妹の代襲相続はどこまで代襲するか
②借金が会社名義のものか被相続人の名義か、連帯保証や保証をしているか
③会社の株式の価格は、未上場株式評価
④相続放棄について
⑤会社を誰かが継ぐのか・精算するのか その他
この様に、確認するべきポイントや注意点はたくさんあります。
これらすべてをネット検索しまとめるのはなかなか大変です。
またネット検索以前にポイントや注意点を把握できるかどうかが満足いく相続手続きができるかどうかのハードルとなります。
相談を受けた時点で、戸籍等を調査したわけではないので正しくは不明ですがお話を聞いた限りでは相続人は兄弟姉妹、一部は代襲が発生し甥姪でした。兄弟姉妹に関する代襲相続は甥姪までしかありません。
代襲相続=民法887条2項
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
民法889条
次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
第887条第2項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
887条の第3項にが再代襲についての規定がありますが889条に規定されているように兄弟姉妹について準用されているのは2項の規定のみですので甥姪より下に再代襲はしません。
被相続人が事業を営んでいる場合、事業を運営継続していくために借り入れを行っている可能性が高くなります。
事業主体が法人の場合、債務者の名義が会社(法人)となっている場合には、その借入を返済しなければならないのは会社でありそれは会社としての負債となるので、相続が発生したからといっても相続人が引き継がなければならないものではありません。
しかし代表者たる被相続人が保証を行っていた場合、それは被相続人の負の相続財産となるので相続によって相続人に引き継がれます。
保証人と連帯保証人の違いとしては、保証人は債務者がお金を返せない場合のみ請求されるのに対し連帯保証人は行きなる請求されることもあります。
また保証人は返済を請求された場合、債務者の資力を証明しまずは債務者に請求するように言えるのに対し連帯保証人はそれができません。
さらに保証人は複数人いた場合、債務の額を保証人の人数で割った分の金額に対して責任を負いますが、連帯保証人は複数人いてもそれぞれが債務全額に対して責任を負っています。
イメージとしては保証人よりも連帯保証人の方がより重い責任があるという形になります。
今回のご相談では、会社に借金がある事はあるという話でしたが、詳しくは分からないという状態でしたので、まずは借入の契約書などをしっかり確認し会社名義の借金なのか、保証や連帯保証の有無などをしっかり確認するようにお話しています。
取引相場のない株式です。
相続財産としての株式の価格は上場株式であれば、基本的に被相続人の死亡時の最終価格で考えます。
そのほかにも色々と上場株式の価格調整に関してルールがありますが、今回は割愛します。
評価方法として基本的に以下の通りです。
(1) 大会社
大会社は、原則として、類似業種比準方式により評価します。類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。
なお、類似業種の業種目及び業種目別株価などは、国税庁ホームページで閲覧できます。
(2) 小会社
小会社は、原則として、純資産価額方式によって評価します。純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。
(3) 中会社
中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して評価します。
今回のご相談に関しては、相続財産としての価値はあまりないよう形でしたし。
相談者の父(相続人)に関しては今後経営に参加する気もないという事でした。
相続放棄とは民法に定められた手続きで、家庭裁判所で手続きをすることによって行います。
相続放棄をするとその相続人に関しては初めから相続人ではなかったものとした使われ、代襲も発生しません。
ですので、相続財産が借金ばかりだったような場合には、相続放棄をすることによって借金を返済する必要が無くなりますし、代襲が発生して相続財産である借金が子どもへ相続されるという心配もありません。
ここで少し気になるのが相続人が複数いる場合、遺産分割協議を行い、借金を相続する一人を決めその他の人は借金を相続しないとした場合はどのうになるのでしょうか?
借金は相続財産なので他の相続財産と同じように法定相続分と異なる割合を遺産分割協議で決めることが出来るような気もしますが、それが借金の場合は出来ないので要注意です。
たとえば借金を相続する一人を決めておいたとしてもそれが有効なのは、相続人の間だけの話で債権者にはその主張をすることができないのです。(債権者を保護するための法律の規制です)
借金の遺産分割方法を債権者が承諾してくれれば話は別ですが、遺産を一切相続する気が無くても相続財産の中に借金があるような場合においては相続放棄を行っておくほうがよいでしょう。
今回の相談も被相続人には会社の経営に関して借金がありました、相談者の父は相続人として相続する気はないとの事でしたが上記の様な点から相続放棄について回答を致しました。
最後のポイントは会社を誰かが継いでいくのか、または精算するかです。
先代の死亡により会社を継ぐという事は事業承継という事になり、株式を相続し経営権を確定し代表取締役になるというイメージです。
本件で、プラスの相続財産といえるものはこの会社の株式くらいで、あとはマイナスの相続財産しかありませんでした。
そして、ご相談者様の父は会社を継ぐ気はなく、会社を継ぎたいと言っている相続人に任せたいとの事でした。
以上のように大きく分けて5つくらいのポイントをお聞きし、回答させていただきました。
回答としては相談者様のお父様は相続放棄を検討してみてはどうかというお話をさせていただきました。
ご相談のお時間としては1時間と少しくらいでしたが、喜んでお帰りいただきました。
遺産相続手続きはいろいろな法律や制度が絡み合っていますので本を読めば読むほど、検索をすればするほどさらに分からない事がでてきてしまい、たくさんの時間を費やすことになります。
無料相談なども活用して、自分にとって納得できる相続を模索していただきたいと思います。
相続が発生した場合は、様々事情が複雑に絡み合っている場合があります。そのような時は、少しづつ要素を分解して考えていく事が大切です。自分たちが関わる相続手続きの要素の分解が難しい場合などはお気軽に相続モールにお声掛けください。
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