相続手続き代行の現場でよく聞くお話し 前回の相続のときは・・・

みなさま、いつもありがとうございます。
相続手続き代行の大阪相続モールです。
本日は、相続手続き代行相談の際によく聞くお話しをご紹介いたします。

前の相続のときは・・・

相続代行のご相談を受けるときによく聞くお話なのですが、前回の相続、つまり一つ前に発生した相続の際は、自分は折れて少なめの相続、もしくは相続しなかったので今回は前回相続したものが折れてもいいのにというお話です。
印象としては、どうしても「折れるべきだ!」という強い主張ではなく、「折れてくれたらいいのにな」とい愚痴に近いお話として話される方が多い印象です。

例えば、お父様が亡くなられた際の相続時、残されたお母様の面倒を見るという約束で多く財産を相続した長女さんが、お母様が亡くなられた際にもお母様の面倒を見たからと主張して多くの相続を望んだ場合、他の相続人の方からすればお父様のときに多く渡したのにという感情をいただいておられるという状況です。

法的には・・・

では、前回の相続で、多く相続したことが次の相続に影響を及ぼすのかどうか、法的にはどうでしょうか。
結果から申しますと父と母の相続に関しては別問題なので、父の相続時の不平等を母の相続の際に解消するという事は当時その様に約束していたとしても当然に考慮されるとは限りません。

父と母の相続は別

上記の様な事例で、父の相続のときに長女と他の相続人が父のときは多く渡すから母のときは少なくするという約束をしていたとしても、長女が父と母の相続は別であると主張すればその事により遺産分割協議はまとまりませんし、遺産分割調停もまとまりません。
審判においてもこの様な約束は実現させるのは難しいかと思います。

また例えば、母が遺言で長女よりも他の相続人に多く残すとしていた場合にも、それが長女の遺留分を侵害しているような場合であれば、長女は遺留分減殺請求を行う事が可能になります。

どんな方法があったか

では、上記のような約束を実現するためには、どのような方法が考えられたかみてみましょう。
●父の相続時の遺産分割協議書
父の遺産相続が発生した時に作成した遺産分割協議書内に上記のような約束(母の相続時には長女が少ない割合で相続)が実現しないような場合には、父の遺産分割協議書を解除ないし錯誤無効とする余地を残せている場合は、まだ可能性があります。

●母の遺言と長女の遺留分放棄
母に上記のような約束を守らせる形の遺言書を残してもらう、その上で長女にも遺留分の放棄を行ってもらっておく事も考えられます。
相続の放棄は相続の発生前には行う事ができませんが、遺留分の放棄は可能です。
ですがこの場合も将来の事情変更により遺留分放棄の取消が認められる場合もありますし、遺言の撤回の可能性もあります。

相続手続き代行が難航するパターン

相続争いは嫌だけど
私たちが今まで、相続手続きの代行を行ってきた中でも何件かあるのですが、遺言書のない相続手続きの代行を行う際、遺産分割協議は避けて通れません。
遺産分割協議は、相続人同士で遺産の分け方について話し合うというもので、全員一致で分け方を決定することができない場合は、相続手続きはこの段階から先へ一歩も進めることができません、それは我々の様な相続手続き代行の業者に依頼していても同じです。

遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割の調停や審判といった裁判上の手続き並行していきます。
私たちが、取り扱った中にも、弁護士さんへ引継いだり、本人たちで調停を行う事になった方々などおられます。

遺産分割の争いごとは増加傾向?

相続の事件データ
遺産分割協議がまとまらない場合に調停や審判などへ移行するケースは数としてはここ最近は落ち着いている印象を受けますが遺産分割事件の件数を司法統計でみると平成20年度は約1万件そこから増加していき平成25年度以降約12000件あたりで落ち着いているという形です。
実際に調停や審判などの事件にならずに、相続人のうち誰かが我慢して相続を終え、親族・家族に遺恨を残した相続を考えると何らかのトラブルがある相続はもっともっと多いのではないかと思います。

相続手続きが争いになっていきそうなセリフ

相続代行の現場で聞く
私たちが相続手続き代行の現場でよく聞くのは

  • ほかにも財産があるはずだ
  • なぜ、この預金がこれだけしかないのか
  • あの時、土地を売ったお金はどうなったのか

この様なお話です。
相続を主導されているのは、亡くなられた方、つまり被相続人の介護していた方や面倒を見ていたという方が多いのですが、その相続を主導されている相続人以外の方からこのような意見が出てきてもめだすとというパターンが少なからずあります。

相続を主導されている方からすれば、何を細かい事を、もめるとは思わなかった、自分たちは法律通りに分けようと言っているのに何をいっているんだ、というお気持ちがありつつできる限りは冷静に対処されつつ最悪の場合は、裁判上の争いへと移っていくケースです。

この様な争いに発展していくのを防ぐためには、介護中などからきっちりと記録や領収書など残しておくことです。
そこまでしないといけないのかというお気持ちはあるかともいますが、時代が権利は主張するべきという形に動いてきていますので、メモや記録、領収書を残しておくに越したことはありません。

裁判上の手続きは2年以内で終わるものが2割、一年以内が3割と長期間かかるものが多いです。
これだけ時間をかけて弁護士費用もたくさんはらい結局法律通りとあまり変わりなく決定し失ったものは親族との交流、という結果になることもあります。

相続争いを起こさないためには相続が起こる前に、しっかり対策を行っておくことが安心です。
親の資産で親の介護をすることは当然ある事ですが、そのお金の出し入れはカードをつかって勝手におろしたりせず記録をとっておいたり親が認知症などで判断能力を失った際には法的な仕組みでしっかり管理することが大切です。

まとめ

様々な対策を講じておいても上記のような約束を実現させるのが非常に困難です。
(長女が進んで約束を守る場合には全然可能です)
相続の際には、様々な事情があると思います。
単に手続きを行うだけでなく様々事例から次の相続や先のトラブル、争いに発展する兆候などを考慮してのアドバイスを受けていただける点も相続代行サービスを利用していただく利点の一つです。