相続代行を使わずにやってみよう!金融機関の必要書類について

金融機関の相続手続をやってみよう

相続代行をつかわない金融機関相続

相続が発生し、金融機関に手続きをしなければならなくなったときにまずなにから始めればいいのか、どうすればいいのか迷ってしまうこともあるかもしれません。

そんな方のために、何から行ない、どういったことを注意するべきかをご紹介していきます。

はじめに、どこになにがあるのかを把握して金融機関に連絡をしましょう

まずは金融機関へ名義人の死亡を伝えよう

故人が財産を預けていた金融機関を通帳や株式の報告書などから確認して、金融機関に連絡を行うところから始まります。

この連絡を入れた時点で口座などは凍結され今後は入出金することはできなくなります。公共料金なども全て引き落としできなくなりますし、お葬式の費用などを故人の資産から支出する場合はそういったことも念頭に置いて連絡を行いましょう。

よく勘違いされることがありますが、人が亡くなったときには役所などから連絡がいき自動的に口座が凍結するといったことを思う方もいらっしゃいますが、そういったことはありません。あくまでも金融機関が亡くなったことを何らかの形で知ったときに口座は凍結します。

連絡先はお近くの支店や取引のあった支店でほぼ問題ないかと思いますが、大手の銀行であれば相続事務を専門に扱うセンターなどがありますので、ネットなどで確認して直接センターに連絡すると相続資料を請求できます。

共通する書類を集めてみましょう

相続に必要な書類をそろえよう
金融機関 相続
どの金融機関であってもほぼ必要になる書類があります。

そのひとつは戸籍謄本です。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍や相続人の戸籍が必要になります。

亡くなった方の本籍地かわからない場合は本籍地を記載してもらった亡くなった方の住民票の除票を取得するとわかります。その本籍地を管轄する役所で戸籍を取得すると最新の戸籍には故人が亡くなったことが記載されているはずでしょう。

そしてそれ以前にどこの戸籍から今の戸籍に入籍したのかもそこには記載されていますので、それを参考に出生まで遡っていきます。

金融機関によっては生殖能力などを考慮して15歳や16歳から死亡までなどもありますが、基本的には出生まで遡るのがよいかと思います。このように戸籍を収集していくと、亡くなった方がこれまでにどういった家族構成であったかがわかり、誰が相続人かも把握できるようになっていきます。

相続人である子供などがいる場合は、その子供の現在のことが記載されている戸籍を取得する必要もあります。前述した戸籍から結婚などをして違うところに戸籍が作られた子供の戸籍を追いかけていくか、直接ご本人に取得してもらうのがいいでしょう。

その相続人がすでに亡くなっている場合はさらにその相続人の子供が相続人になる可能性がありますので、その戸籍も収集することになります。しかし、一般の方の場合、ご兄弟やその甥や姪の戸籍などは個人情報保護の観点から取得できない可能性もあります。このような場合は専門家に依頼するのがよいかもしれません。

それ以外の必要書類はケースによって異なってくる

さらに追加で相続に必要な書類をそろえよう

先ほどの戸籍以外にも必要になる書類がありますが、相続の方法によって書類の種類や誰の書類が必要かなど異なります。例えば印鑑証明書は法定相続分通りの相続であったり、遺産分割協議書を作成した場合には相続人全員の印鑑証明書が必要になります。

遺言書があってその中に遺言執行者が指定されている場合は、今後の手続きは執行者が執り行うことができますので、執行者の印鑑証明書のみで手続きを進めることができます。一方で、遺言書がある場合は遺言書の提出はもちろんですが、それが自筆証書による遺言書の場合は家庭裁判所で検認を受けたことを証明する検認調書や検認済証明書などの提出が必要になります。

また、家庭裁判所で調停や審判を受けた場合には調停調書や審判書が必要になります。

期限に注意しましょう

戸籍や印鑑証明書を提出する場合、その期限にも注意が必要です。戸籍は現在の戸籍については6カ月から1年であったり、除籍謄本などはすでに閉鎖されている戸籍なので期限が必要ないというところもあればこちらについても期限をもうけている金融機関もあります。

印鑑証明書については重要な書類ですので概ね3か月から6カ月といったところが多いようです。金融機関に相続資料を請求して印鑑証明書が必要だからとすぐに取得したはいいものの遺産分割協議に時間がかかって実際の手続きのときには3か月を過ぎていてしまったということなどは非常によくあります。

残高証明書を手に入れてみよう

残高証明はいろいろなところで役立ちます

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍を取得していくお話をしました。その戸籍謄本の中でもご自身の現在のことが書かれている戸籍と亡くなられた方の死亡が記載されている戸籍謄本の二通があれば親子関係の相続では残高証明書のみであれば取得が可能です。

これは口座名義人が亡くなられていることが戸籍で把握できて、かつその子供であることがわかれば相続人であることが推定されるからかと思います。

ですので、兄弟姉妹などの相続順位が低い相続人や遺言書によって相続人ではない人が遺贈を受ける場合などではその人が相続財産を受けることができるのかが戸籍だけでは判断できないので、亡くなった方に子供がいないことがわかる戸籍や遺贈することが書かれている遺言書などが必要になります。

相続財産の確認にも便利

銀行 相続
この残高証明書は銀行などであれば特に口座を必ず指定する必要はありません。

「たしかこの銀行に口座を持っていた気がするけど通帳などが無くてはっきりしないなぁ」といった場合でも請求することができます。

ですので、通帳がある銀行に残高証明書を請求したところ、亡くなった方がこれまで○○支店でも口座を作っていたり、その後転居した先の近くの○○支店でもまた口座を作っていたりして数口座見つかるようなこともあります。そういった口座の多くは数百円といったことが多いですが、はっきり口座がわからない場合でもこのように把握できるので非常に便利です。

たまにどこにどれだけの財産があるかわからないので、確認する方法はないものかと思われる方もいらっしゃいます。不動産では各市町村に所有している不動産がある場合は各市町村で「名寄せ」を行うことにより対象の市町村にある不動産を全て記載した書類をもらうことができます。

しかし、金融機関にはこういった名寄せといったものはありませんので、最低限この銀行に口座があった気がするなどの情報を頼りに各銀行から残高証明書を取得する方法しかありません。

残高証明書は相続人が複数いる場合などではどこにどれだけの相続財産があるのかを全員が共有できるように財産目録を作成することが望ましいので、そういった場合にもこういった証明書があると作成が容易になります。

さらに相続税が発生する場合などでは相続税の申告に残高証明書が必要になりますので取得しておくことで手続きをスムーズに運ぶことができます。残高証明書を請求する際には証明する日付を指定する必要がありますが、こちらは亡くなった方の死亡日を記載すれば問題ありません。

信託銀行にある株式については少し特殊です

信託銀行に預けられている株式などの場合、残高証明書を利用してどんな株式がどれだけあるのかを確認するという手段が取れません。

こういった信託銀行にどれだけの株式があるかを確認する場合には財産を照会してもらう別の手続きをまず行い、その手続きを経て、どういった株式があるのかを確認したのち、その株式の証明書を取得することになりますので日にちがかかってしまいますので注意しましょう。

特にこの照会手続きには最長で2カ月かかる信託銀行もありますので、こういった財産がある場合には早めに取得していくことが大切です。

金融機関所定の用紙を手に入れましょう

金融機関の所定用紙を手に入れるには

金融機関に相続手続をするためには、必ず金融機関所定の相続手続に関する書類が必要となります。前回お話した残高証明書を取得するために金融機関に行ったのであればその際に書類を渡されたりすることもあると思います。書類の名称は様々で「相続届」「相続手続依頼書」「相続に関する依頼書」など様々ですので請求するときには相続の手続きに必要な書類をくださいとお伝えすればいいでしょう。

書類の請求先として都市銀行などの相続センターが別に用意されている金融機関では、センターに電話連絡を行えば郵送で書類を送ってもらえます。

専門のセンターなどがない場合はお近くの支店に伺えば相続手続の書類をもらえるでしょう。金融機関によっては相続手続に関しては必ず電話で事前に電話連絡を行って予約を取る必要がある金融機関もありますので、事前に電話などで相続手続の相談に行きたいと連絡を入れるのが好ましいです。

依頼書を作成しましょう

依頼書を完成させよう

依頼書を受け取ったら早速必要事項に記載していきましょう。金融機関によっては相続手続に関する相談後に依頼書を発行してくれるところもあり、その場合は亡くなった方の住所氏名や口座番号などをすでに記載してくれていますが、基本的にはご自身が把握している亡くなった方の住所や生年月日、口座番号などを記載する必要があります。

そして、基本的には相続人全員の自署で住所氏名などを記載して実印を押印します。また相続財産を受け取る方の金融機関や口座番号なども記載します。相続の際に相続人が一人だけの場合でしたらこの依頼書に戸籍類にご自身の印鑑証明書があればすぐに手続きを行うことができます。

相続人が複数人いる場合は依頼書以外にも必要な書類があります

ほかにも必要なものは

相続人が複数人いても法定相続分通りに分ける場合、あるいはとりあえず代表相続人を定めて後日協議がまとまった際に代表相続人から配分する場合などではこの依頼書のみで問題ない場合もありますが、株式や投資信託などの商品がある場合には必ず遺産分割協議書が必要な場合があります。

また多くの方は実際には不動産や自動車など様々な財産を所有してらっしゃることが多いので、その全てを法定相続分通りに行うことはほとんどありません。不動産を相続人全員の共有名義にした場合などは、相続後全員が所有者として権利を有し、なにかその不動産で行うたびに権利者全員が関わることになってしまい、非常に煩わしいことになってしまうからです。

ですので、通常は遺産分割協議書を作成し、預貯金も含めて不動産や自動車、その他の財産の分け方も記載したうえで金融機関の手続きを行うことが望ましいでしょう。

場合によっては依頼書をおひとりで作成することもできます

あまり他の相続人に頼りたくない場合

依頼書には相続人全員の自署と実印が必要とお話しましたが、場合によってはおひとりのみで手続きを進めることができます。ひとつは遺言書に遺言執行者が選任されている場合です。遺言執行者とは文字通り遺言書の内容を執行してくれる人のことをいいます。これは家族でも他人でも専門家でも問題ありません。

この執行者の記載が遺言書にあれば相続人が複数人いたとしても、遺言執行者の名前と実印の押印で依頼書を完成させることができます。ただし、添付書類として公正証書遺言書の場合には遺言書の謄本、自筆証書遺言書の場合には遺言書の原本と家庭裁判所で検認の手続きを行ったことを証明する書類が必要になります。

もうひとつの方法として、遺産分割協議書に今後の相続手続について代表して手続きを行う者を指名する方法です。こちらの場合は遺産分割協議書に手続きを行う代表者を指名し相続人全員に実印を押してもらっているので、依頼書には代表のみで手続きを行うことができるという方法です。

ただし、こちらの方法は金融機関の相続手続に関する法知識が十分ではない金融機関などでは知らないことも多いので難しい場合もあるので注意が必要です。

金融機関で相続手続きを行うにはまずは金融機関に連絡をいれます。

この時点でその口座は凍結されてしまいます。

その後は、必要な書類を集めて提出という流れになりますが、金融機関ごとに必要なものは異なります。

その中には戸籍などの市役所で発行されるものや遺産分割協議書など自分で作成するものなど様々ですので問合せしながら少しずつ集めていきましょう。