遺言執行者がいる場合、未成年がかかわる場合の相続手続き

遺産相続手続き代行の相続モールです。
本日は遺言執行者についてお話いたします。

遺言執行者とは、どんな制度か

遺言執行者とは

遺言執行者とは一言で言いますと、亡くなった方が残した遺言に基づいて相続手続きを行う権限を持った人です。

条文には以下の様に定められています。

(1)遺言執行者の指定(民法1006条)
① 遺言者は、遺言で、1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
② 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
③ 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なく その旨を相続人に通知しなければならない。
(2)遺言執行者の欠格事由(民法1009条)
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
※自然人のみならず法人もなれる。相続人、受遺者、信託銀行等も可。

(3)遺言執行者の選任(民法1010条)
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害
関係人の請求に よって、これを選任することができる。
※利害関係人:相続人、受遺者、被相続人の債権者等

(4)遺言執行者の権利義務(民法1012条)
① 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務 を有する。
※相続人の印鑑をもらわなくても、相続登記や預金の引き出し・名義変更 が出来る。
② 第644条から第647条まで(受任者の義務と責任)及び第650条(受任者による費用等 の償還請求等)の規定は、遺言執行者にこれを準用する。

(5)遺言執行の妨害行為の禁止(民法1013条)
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の 執行を妨げるべき行為をすることができない。
※相続人の相続財産に対する処分権が喪失する。

遺言執行者の主な業務

① 相続財産目録の作成および相続人全員への交付(民法1011条)
② 遺産の収集・管理・処分等
③ 相続財産の交付(相続人、受遺者)

以上のように、遺言執行者は遺言の実現に関して大きな力になりますので可能でしたら作成した遺言書には遺言執行者に関する規定を入れておきましょう。

遺言書があり遺言執行者の地底がる場合の相続手続きに関しては遺言執行者が主導して遺言書に書かれているように遺産分割をおこなっていまきます。

遺言に遺言執行者の指定があるのに相続人が勝手に遺産分割してしまうとどうなるか

遺言があり遺言執行者が指定され遺言執行者が就任しているにもかかわらず相続人が勝手に遺贈の目的物である不動産を第三者に譲渡したというパターンの判例ではその遺言に反するその行為は上記の1013条違反で無効とされています。

またこれは相続が発生してから、遺言執行者が就任する前に行われていたとしても無効となり得ます。

遺言執行者がいる場合の相続手続きは遺言執行者が主導して遺言に基づいた相続手続きを行う事が基本になります。

次に相続人の中に未成年の方がいる場合の相続手続きです。

未成年の方がいる場合の相続手続き

次に相続人の中に未成年者がいる場合の相続手続きについてお話いたします。

民法第5条には下記のように記述されています。
1 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

今回重要なポイントは①、②の部分ですが③についても少し補足しておくとこれはお小遣いとかをイメージしてもらえばわかりやすいのかもしれません。

①に関して、未成年が法律行為をするにはその法定代理人の同意が必要とあります。
未成年者の法定代理人とは基本的には「親」のことになります。
そして遺産分割協議は「法律行為」であるとされています。

そうなりますと、相続人の中に未成年の子がいるような場合、親が代わりに遺産分割協議を行えばよく、それで万事うまくいくような感じもしますがそうできない場合もあります。

法定代理人と当該未成年者の間で利益が相反する場合です。

親権者と未成年者が双方相続人となっている場合の遺産分割協議は明らかに双方の利益が相反しています。この場合親が子の代理人となる事ができません。

双方の利益が相反している状態とは、例えば同じ相続で親と未成年の子が双方とも相続人となっているような場合、親が未成年の子の法定代理人として子の相続分を少なくすれば自分の相続分が増えます。このような状態は、利益が相反している状態と言えますので親を子の代理人として遺産分割協議を行う事は、子の不利益につながる恐れがあります。

そこでこの遺産分割協議を有効に成立させるためには家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任します

親権者及び利害関係人が申し立てることができます。

代行する場合は司法書士が行います。

誰が特別代理人になるかですが、親族(未成年者の祖母や祖父など)でも構いませんし。
相続モールでは司法書士による申立てとご希望の場合は就任もサポートします。

基本的には申し立て時に申請した特別代理人候補者がそのまま選任されることがほとんどです。

遺産相続には相続によって個別の事情がたくさんあります。本日は相続人の中に未成年者いる場合、遺言があり遺言執行者がいる場合についてお話ししました。もし相続について自分たちの場合はどうすれば良いのかわからないという事がございましたらお気軽にご相談くださいませ。